詩 poesia Cesare Pavese, I mari del Sud(パヴェーゼ「南の海」)
パヴェーゼ(1908-1950)の生前唯一の詩集、『働き疲れて Lavorare stanca』の最初の一篇を訳してみました(1930年の作品です。死後70年が経過したため、著作権は切れています)。既訳もありますが(河島英昭等)、イタリアにいるため参照がかないませんでした。
詩の舞台はパヴェーゼの故郷、イタリア北部のピエモンテです。「私」の従兄は、田舎にはめずらしく、世界中を飛び回った過去をもつ中年の男で、かつて冒険小説に憧れた「私」(パヴェーゼ自身を投影)は、彼をいまでも慕っています。「私」の子供時代、親類から忘れ去られたこの従兄が、ふと一枚の葉書をよこしてきます。それは「南の海」からの手紙でした。
彼の小説を読まれた方はすぐ気づかれると思いますが、本作は彼の最初期の作品で、その後の小説のテーマが繰り返し立ち戻る基点となっています。ごく平明な、散文に近い筆致で書かれており、これは当代の詩潮からは大きく外れるものでした。本詩集は、第二次大戦後、イタリア詩が再び散文化してゆく過程を理解するうえで欠かせない参照点となっており、自分が最近この作品を読みこみはじめた理由も...